ウイスキーの種類が豊富なバー|ローズバンク9年 ザ・ローランド・プレステージを銀座で飲むならBARWHITEOAK

ローズバンク蒸留所 ― 消えたローランドの至宝
スコットランド・ローランド地方にかつて存在した「ローズバンク蒸留所」。その名は、今や伝説となりました。
蒸留所の始まりは、1840年頃までさかのぼります。当初の名前は「キャメロン蒸留所」。地元のワイン商が設立し、その後1919年以降はスコットランド最大手の一角であるDCL社（現ディアジオ）傘下となります。
ローズバンクは、ローランドモルトの中でも特に繊細で優雅なスタイルで知られていました。特徴的なのは、ノンピート麦芽を使い、3回蒸留を行う製法。これにより、軽やかでフローラルな香りと滑らかな口当たりが生まれ、他の地域のモルトとは一線を画す存在感を放っていました。
多くの評論家がローズバンクを「ローランドの女王」と称賛し、ウイスキー通の間でも特別な存在として愛されてきました。しかし、1990年代初頭のウイスキー不況の波は、名門でさえ逃れられません。
1993年、当時のオーナーであるディアジオ社は、ローズバンク蒸留所の閉鎖を決定。その味わいと伝統は、惜しまれつつ歴史の中に沈んでいきます。
閉鎖後も建物はそのまま残されていましたが、年月とともに荒廃し、ついには2008年、設備の一部が盗難に遭うという事件まで発生。ポットスチルやマッシュタンといった心臓部を失い、復活はほぼ絶望的と見られていました。
しかし、希望は完全には絶えませんでした。
2017年、独立系ボトラーズ企業「イアン・マクロード・ディスティラーズ」が、旧ローズバンクの敷地と建物、さらにディアジオ社からブランド名「ローズバンク」の商標権も取得。こうして、幻の蒸留所の再建が本格的に始まります。
再建されたローズバンク蒸留所は、外観の意匠に旧時代の趣を残しつつも、設備はすべて新たに導入されたため、厳密には「新しいローズバンク」といえます。
つまり、オリジナルのローズバンクが生み出した原酒は、すでにこの世に存在する限りしかないということ。
その価値は、時を経るごとにさらに高まっていくでしょう。

蒸留時期：1992年3月（March 1992）
ボトリング時期：2001年11月（November 2001）
熟成年数：9年
地域：ローランド（Lowland）
カスクナンバー：1453、1454、1560
アルコール度数：40％（40%vol）
容量：700ml（70cl）

ローズバンク 9年 ザ・ローランド・プレステージ
こちらは、日本向けに輸出された特別な1本。株式会社「前田」がボトリングした古酒。
繊細なモルティーさが魅力でありながら、芯のある旨味としっかりしたコクも感じられる、実にバランスの良い仕上がり。
ローランドモルトらしい軽やかさの中に、ローズバンクらしい品格を宿しています。
アルコール度数は40％に加水調整済み。これ以上の水は不要です。
楽しむならストレート一択。そのままグラスに注ぎ、消えゆくローランドの風をじっくり味わってください。

ローズバンクのウイスキーは、まさに「ローランドの記憶を閉じ込めた液体遺産」。
繊細さのなかにしっかりとした芯を感じる味わいは、一度口にすると忘れられない余韻を残します。現在では、オリジナルのローズバンク原酒を楽しめる機会は極めて限られています。
銀座・BAR WHITE OAK では、その貴重な1本を今なお取り扱っています。
かつて存在した名蒸留所の面影を、静かなバーでゆっくりと味わってみてはいかがでしょうか。