【ブドウ品種の交雑について】銀座のバーでワインを飲むなら|BARWHITEOAK

ブドウ品種の交雑について
ブドウ品種の交雑は、異なる品種を交配して新しい品種を作り出すプロセスです。この手法は、ワインの品質や特性を向上させるために利用されます。以下に、ブドウ品種の交雑の基本的な知識をまとめます。

1. 交雑の目的
耐性の向上: 病害や気候変動に対する耐性を高めるために、異なる品種の特性を組み合わせることができます。
品質の改善: 異なる品種が持つ風味や香りの特性を融合させることで、ワインの風味を豊かにすることが可能です。
収量の増加: 生育や収穫の効率を向上させるために、収量の多い品種と高品質な品種を組み合わせることができます。
2. 交雑のプロセス
親品種の選定: 交雑の際には、目的に応じた親品種を選びます。例えば、耐病性が高い品種と、優れた風味を持つ品種を組み合わせることが考えられます。
交配: 花粉の受粉によって交配が行われます。これには人工的に受粉を行う方法と自然のままにする方法があります。
選抜と育成: 交配によって得られた種から育てた苗木を観察し、目的に合った特性を持つものを選び出します。その後、選ばれた品種をさらに育成して安定した特性を持つようにします。
3. 交雑の種類
交配（ハイブリダイゼーション）: 同じ種内での交配です。たとえば、同じ品種内で異なる系統を交配することで新しい品種を作ります。
交雑（クロスブリーディング）: 異なる種や亜種間の交配です。たとえば、Vitis vinifera（ヨーロッパブドウ）とVitis labrusca（アメリカブドウ）を交配することがこれにあたります。
4. 代表的な交雑品種
デラウェア: Vitis viniferaとVitis labruscaの交雑で生まれた品種で、特に甘みが強く、香りが豊かです。
巨峰: Vitis viniferaとVitis labruscaの交雑品種で、大粒で甘みがあり、果汁が豊富です。
マスカット・ベーリーA: Vitis viniferaとVitis labruscaの交雑品種で、豊かなフルーティーな香りが特徴です。
5. 交雑の利点と挑戦
利点: 新しい品種は、特定の地域や気候条件に最適化されていることが多く、品質や収量の向上が期待できます。
挑戦: 新品種の育成には時間がかかり、安定した特性を持つまでには多くの試行錯誤が必要です。また、新しい品種が市場で受け入れられるかどうかも未知数です。
ブドウ品種の交雑は、ワイン業界において革新をもたらし、さまざまな特性を持つワインを生み出すための重要な技術です。

クローナルセレクション（クローン選抜）
クローナルセレクションとは、ブドウの品種改良において、挿し木を用いて新しい苗を育てる方法です。以下がそのプロセスです：
挿し木と遺伝子の一致:
ブドウは種子ではなく、主に挿し木で増やします。種子で育てると、花粉交配により異なる性質の苗（実生苗）ができる可能性があります。挿し木で育てた苗は親株と同じ遺伝子を持ち、親株と同じ特性を安定して発現します。このような苗を「クローン」と呼びます。
突然変異とクローンの選別:
ブドウは突然変異が起こりやすく、大きな変異は新しい品種として認識されることがありますが、同じ品種内でも小さな変異が見られます。例として、ピノ・ノワール（Pinot Noir）から変異してピノ・グリ（Pinot Gris）やピノ・ブラン（Pinot Blanc）が生まれたケースがあります。
クローンの選抜と識別:
小さな変異を持つ株を識別するため、数千株を同じ条件で長期間育て、特性（色の濃さ、果粒の大きさ、病気耐性など）を基に選別します。選別された株を挿し木で増やし、安定した特性を持つクローンを作ります。クローンは通常番号で識別され、例えばピノ・ノワールには「ディジョン・クローン」と呼ばれる115や777などがあります。

フィロキセラ対策
19世紀のブドウにおける三大病虫害の一つがフィロキセラです。フィロキセラはブドウの根に寄生する虫で、以下のように対策が進められました。
病害の概要と対策の難航
ベト病とうどんこ病はカビによる病気であり、これらの病気にはカビを予防する薬剤が開発され、被害は軽減されました。
フィロキセラは土壌中のブドウの根に寄生する昆虫で、直接幼虫に薬剤をかけることができないため、対策が難航しました。
フィロキセラ対策の歴史
フランス政府は対策調査委員会を設立し、ジュール・エミール・プランション博士をアメリカに派遣しました。プランション博士は、フィロキセラ耐性のあるアメリカ原産のブドウの根を調査しました。
発見された耐性品種:
Vitis riparia（リパリア種）
Vitis rupestris（ルベストリス種）
Vitis berlandieri（ベルランディエリ種）
これらのブドウ品種の根は強いフィロキセラ耐性を持つことが確認されました。
対策の実施
フィロキセラ耐性のある台木（根）としてこれらのアメリカ原産のブドウを使用し、Vitis vinifera（ヴィティス・ヴィニフェラ）の枝を穂木として接ぎ木する方法が採用されました。
この方法により、フィロキセラの被害は徐々に沈静化し、ブドウ栽培の復興が進みました。