ジャパニーズウイスキーの種類が豊富なバー|富士御殿場蒸溜所 シングルカスク グレーンを銀座で飲むならBARWHITEOAK

富士御殿場蒸溜所について

静岡県御殿場市、雄大な富士山の麓に広がる自然豊かな土地に位置するのが「キリンディスティラリー 富士御殿場蒸溜所」です。1973年、キリンビールが「世界に通用する本格的なウイスキー造り」を目指して設立しました。当時からスコットランドやアメリカ、カナダの技術者も参加し、世界の知見を融合させた設備と技術を備えてスタートした、日本でも数少ない大規模なウイスキー蒸溜所です。

この地が選ばれた理由のひとつが、富士山の伏流水。標高600メートルという冷涼な気候と、長い年月をかけて濾過された清冽な水は、仕込みに理想的。四季折々の寒暖差も熟成に適しており、ウイスキー造りに恵まれた環境が整っています。

蒸溜所の大きな特徴はモルトウイスキーとグレーンウイスキーの両方を製造している国内でも珍しい「複合蒸溜所」であること。多くの蒸溜所ではモルトのみを生産しますが、富士御殿場では3種類の蒸溜器を備え、多彩な原酒を造り分けています。モルト用のポットスチルに加え、バーボン由来の連続式蒸溜機（バーボン型）、そしてカナディアンウイスキーの製法に基づいたマルチカラム式蒸溜機を導入し、幅広いスタイルのグレーンウイスキーを生産。これにより、ブレンデッドの幅を飛躍的に広げています。
また、発酵槽にはステンレス製と木桶製の2種類を採用。ステンレスは安定した発酵を実現し、木桶では木肌に棲みついた乳酸菌が働くことで、独特の深みや複雑な香味を生み出します。こうした多様性こそが、富士御殿場のウイスキーを個性的で奥行きあるものにしています。

熟成庫では、アメリカンホワイトオークのバーボン樽を中心に、シェリー樽やワイン樽なども使用。澄んだ空気と冷涼な気候の中で、じっくりと長い眠りについた原酒は、やわらかで芳醇な味わいへと成長していきます。さらに敷地内にはクーパレッジ（製樽工場）が併設され、樽のメンテナンスや製造を自社で行うなど、品質管理にも徹底してこだわっています。

富士御殿場蒸溜所は、単にウイスキーを造る場所ではなく、見学体験を通じてウイスキー文化を伝える場でもあります。シアタールームでの迫力ある映像上映に始まり、仕込み、蒸溜、熟成庫といった各工程を実際に見学することができるのはもちろん、最後にはテイスティングでその魅力を体感できます。定番品だけでなく、有料テイスティングラウンジでは長期熟成の超レアボトルを楽しむこともでき、ファンにとってはまさに夢のような時間。東京からのアクセスも比較的良好で、気軽に訪れることができる点も魅力です。

こうした徹底したこだわりと努力の積み重ねにより、富士御殿場蒸溜所のウイスキーは国内外のコンペティションで数々の受賞歴を誇り、世界中のウイスキーファンから高く評価されています。近年では御殿場産の大麦を使ったウイスキー造りにも挑戦を始めており、今後リリースされる新たなジャパニーズウイスキーにも期待が高まっています。
創業から半世紀以上、富士山の恵みを活かし、伝統と革新を融合させながら進化を続ける富士御殿場蒸溜所。その歩みは、これからも日本のウイスキー史に欠かせない存在であり続けることでしょう。