スコッチウイスキーは農家の副業として始まりました。農家たちは余った大麦で自ら蒸留酒をつくっていたのです。誕生当初は「熟成」させるものではなく、ウォッカやジンなどのような無色透明なスピリッツ。日本で言うまさに「焼酎」のような存在でした。
樽に入れて熟成するようになったのは18世紀の前半。イングランドによってスコットランドが編入されると、ウイスキーへの大幅な増税が行われました。蒸溜所は税金を逃れるため、ウイスキーを密造。シェリーの空き樽に詰める形で原酒を隠すことになります。これにより、それまで熟成という概念がなかったスコッチでしたが、樽に入れて数年たった方が美味しくなるということに気づいたことで、熟成させるようになります。
イングランドによる増税がなければ、スコッチは無色透明なスピリッツのままだったのかもしれません。そうなっていれば、ウイスキーの歴史は大幅に遅れ、今のようなウイスキーブームが起こることはなかったのかもしれませんね。