イチローズモルトとは？｜ジャパニーズウイスキーの種類が豊富な銀座のバー【BARWHITEOAK】

イチローズモルト（Ichiro's Malt）は、埼玉県秩父市にある「秩父蒸溜所」で造られる国産クラフトウイスキーで、日本を代表するクラフトウイスキーブランドのひとつです。創業者である肥土伊知郎（あくと いちろう）氏は、祖父の代から続くウイスキーづくりの伝統を受け継ぎつつも、新たな時代に対応した革新的な取り組みで国内外の注目を集めています。

肥土氏は、かつて埼玉県羽生市にあった羽生蒸溜所の原酒を引き継ぎ、それを元に自身のブランドを立ち上げました。羽生蒸溜所の閉鎖後も残された原酒を守り続け、それを活かしてリリースした「カードシリーズ」は世界中のコレクターから注目を集めました。
2008年に秩父蒸溜所を設立すると、本格的に自社蒸溜によるウイスキーづくりがスタート。ミズナラ製の発酵槽や薪による蒸気加熱といった日本独自の製法も取り入れながら、高品質なウイスキーを生産しています。

特徴的な製品群
イチローズモルト＆グレーン ホワイトラベル
ワールドブレンデッドスタイルのウイスキーで、やわらかい口当たりとバランスの取れた香味が特徴。毎日の一杯に適した万能型の1本です。
リーフシリーズ（ミズナラウッドリザーブ／ワインウッドリザーブ／ダブルディスティラリーズなど）
葉の形をしたラベルが象徴的なシリーズで、樽の違いや原酒構成によって多彩な味わいを表現しています。ミズナラ由来の香木のようなニュアンスや、赤ワイン樽熟成によるフルーティーさなど、各ボトルに個性が際立ちます。
カードシリーズ
羽生蒸溜所時代の原酒を使った限定シリーズ。トランプのカードをモチーフに54本リリースされ、世界的なオークションで高額落札されるなど、今や伝説的な存在となっています。

テロワールと哲学
秩父の冷涼な気候と豊かな自然、地元の水源がウイスキーの熟成に理想的な環境を提供しており、四季の寒暖差によって熟成が進むのも大きな特徴です。製造にあたっては手作業を重視し、クラフトマンシップを感じさせる緻密な仕事が随所に見られます。

評価と受賞歴
イチローズモルトは世界の名だたるウイスキーコンペティションで数々の賞を受賞しており、日本国内にとどまらず、海外でも高い評価を獲得しています。とくにリミテッドエディションや蒸溜所限定品は入手困難で、愛好家たちの間で争奪戦となることも少なくありません。

秩父蒸溜所（Chichibu Distillery）は、埼玉県秩父市に位置する日本のクラフトウイスキー蒸溜所で、2008年に肥土伊知郎（あくと・いちろう）氏によって設立されました。日本のウイスキー界において「第二の革命」を起こしたとも称される存在であり、世界中のウイスキーファンから注目されています。
■ 設立の背景
秩父蒸溜所は、閉鎖された「羽生蒸溜所」の原酒を引き継いだ肥土伊知郎氏が、独自のウイスキーづくりを志して設立した蒸溜所です。羽生の原酒を活用した「イチローズモルト カードシリーズ」が大成功を収めたことをきっかけに、自らの蒸溜所を構えるという大きな一歩を踏み出しました。
■ 設備と製法の特徴
秩父蒸溜所は規模こそ小さいものの、製法においては非常にこだわりが強く、以下のような独自性が際立っています。
ポットスチル：スコットランドのフォーサイス社製。初留釜と再留釜が設置されており、伝統的な直火加熱（薪蒸気）を採用。
発酵槽：ステンレスではなく**ミズナラ（日本産オーク）**の木桶を使用。発酵中の微生物や酵母の働きにより、複雑な香味を生み出します。
小ロット生産：手作業を重視し、年間の生産量は非常に限定的。1本1本に丁寧な仕上がりが感じられます。
■ テロワールと環境
秩父の気候は四季の寒暖差が激しく、熟成が速く進む傾向があります。これにより、短期間でもしっかりとした味わいのウイスキーが生まれやすく、日本らしい風土がウイスキーの個性に色濃く表れます。また、地元の清冽な水を仕込み水に使用することで、繊細で柔らかな味わいを実現しています。
■ 新蒸溜所（第二蒸溜所）
2020年には、生産能力拡大と熟成環境の多様化を目的として「秩父第二蒸溜所（Chichibu No.2）」が稼働。こちらは年間の蒸溜能力が初代の3倍以上あり、今後の長期熟成品や安定供給への布石となっています。