【ブドウの生育と環境とは？】銀座のバーでワインを飲むなら|BARWHITEOAK

(1) ブドウの断面図と構成部分
果皮（Skin / Pellicule）: ブドウの外側を覆う部分で、アントシアニン類やフラボノイド、リスベラトロール（約1%程度）が含まれています。果皮は色や香りに影響を与えます。

果肉（Pulp / Pulpe）: ブドウの中心部で、果汁が豊富に含まれています。糖分（ブドウ糖）や酸（酒石酸、リンゴ酸、クエン酸）が含まれており、糖度が高い部分です。

種子（Seed / Pépin）: ブドウの内部にある小さな種で、カテキン類、ケルセチン、プロシアニジン、タンニンなどが含まれています。種子はワインに苦味や渋みを加えることがあります。

梗（Stem / Pédicelle）: 果房を支える部分で、ブドウのつるの一部です。栽培作業や収穫において重要な役割を果たします。

ブルーム（Bloom / Prune）: ブドウの表面にある白い粉のようなもの。蠟質で、果実を保護し、保湿効果があります。

ジュース（Juice / Jus）: 果肉から抽出された液体部分で、ワインの製造過程で重要な役割を果たします。

(2) ブドウの生育サイクルと作業（北半球）
ブドウはつる性の多年生植物で、温暖地帯の北半球では以下のような生育サイクルを持ちます。

休眠（冬季）: 冬になるとブドウは休眠状態に入り、気温（特に土壌温度）が低下します。休眠は植物が活動を休む時期です。

萌芽（春）: 土壌温度が上昇し、一般的に気温が約10℃になると、根が活動を始め、地上部も新たな芽が出てくる時期です。

展葉（春）: 芽が伸びて葉が展開します。これにより光合成が始まり、植物が成長します。

開花（初夏）: 花が開き、受粉が行われます。この段階で、果実の成長が始まります。

結実（初夏）: 花が実を結び、果実が形成されます。

着色（夏）: 果実が色づき始め、成熟が進みます。ブドウの糖度や風味が増していきます。

成熟（秋）: 果実が完全に成熟し、収穫の準備が整います。糖分が増え、酸味が落ち着きます。

収穫（秋）: 完全に成熟したブドウが収穫され、ワインの製造過程へと進みます。

ブドウ栽培においては、これらの生育サイクルに合わせた作業が重要です。気象状況や成長の進行に応じて適切な時期に必要な作業を行うことで、健康なブドウが収穫でき、品質の高いワインが生まれます。

気温
年平均気温: ワイン用ブドウの栽培には、年間平均気温が10℃から20℃が理想です。特に10℃から16℃の範囲が最適とされています。
必要な条件:
年間平均気温: 9℃以上が望ましい。
開花期: 15℃から25℃の気温が適しています。
生育期:
新梢の成長: 15℃から25℃の範囲。
果実肥大: 20℃から25℃が理想的です。
成熟、着色期: 同じく20℃から25℃の範囲が適しています。
成熟期には、日中と夜間で温度差がある方が好ましいとされています。この温度差により、果実は品種ごとの色や風味をより引き出すことができます。
気温のサイクル
四季の存在: 一年を通じて四季があり、暑い季節と寒い季節が交互に訪れる「気温のサイクル」が理想的です。これにより、ブドウはより良い品質で成熟します。
栽培地域:
北半球では北緯30度から50度、南半球では南緯30度から50度の範囲にほとんどのブドウ生産地が存在します。
標高との関係: 気温は畑の標高とも関連しています。暑い地域では、標高が高い土地にブドウ畑を配置することで、気温の調整が行われ、より適した栽培環境を提供します。

日照
植物は太陽の光エネルギーを利用して光合成を行い、大気中の二酸化炭素と水から糖分を生成します。これにより、エネルギー源となる有機化合物を合成し、生育を支えています。そのため、ブドウの生育には光合成が欠かせません。
必要な日照量: ブドウの生育には、萌芽から展葉、開花、結実、着色、成熟までの過程を経るのに十分な日照が必要です。ブドウが完全に成熟するためには、年間で1,000時間から1,500時間の十分な日照が求められます。
日照の強さと日照時間: 日照の強さと日照時間の観点から、南向きの斜面に位置するブドウ畑は、北向きよりも有利です。南向きの斜面はより多くの太陽光を受けるため、光合成が効率よく行われ、ブドウの成熟が促進されます。

水分
ブドウの生育には適切な水分が不可欠です。ブドウは新梢や樹体の成長を経て、糖度を高め、酸度を下げ、種子を充実させる時期に移行します。この過程の転換点が「ヴェレゾン期（着色期）」です。
水分と生育: ヴェレゾン期を過ぎても根が多くの水分を吸収し続けると、新梢や樹体の成長が止まらず、果実の成熟に必要な代謝への移行が妨げられます。これにより、ブドウ樹が成長に養分を取られ、果実に充分な養分が行き渡らず、熟した果実が得られにくくなります。
湿気と病害: 過度の湿気は病害の進行を早める原因となります。特に、初夏から秋の成長期において降水量が少なく、年間降水量が500mmから900mmの範囲が望ましいとされています。
降雨の影響: 降雨はブドウ栽培においては恩恵にもなりますが、時に問題を引き起こすこともあります。生育期の初期には十分な降雨が樹の成長を促進しますが、開花期、結実後、収穫期に過度の降雨があると、果実の成熟に悪影響を与えることがあります。
水分の取り込み: ブドウ樹は地中の根から水分を取り込みますが、水分の取り込みは降水量だけでなく、土壌の保水性とも関係しています。傾斜地では、土壌に浸み込んだ水分が不透水層に沿って下方に流れるため、降水量だけでブドウ栽培への影響を評価することは難しいです。